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東京地方裁判所 昭和40年(ホ)501号 決定

被審人 スガイ交通こと 須貝正

主文

被審人を過料金三十万円に処する。

手続費用は被審人の負担とする。

理由

被審人は、タクシー業を営み、約五〇名の従業員を使用している使用者であるが、東京都地方労働委員会の申立にかかる当裁判所昭和三九年(行ク)第一五号緊急命令申立事件について、その被申立人として当裁判所から同年五月二三日に緊急命令が発せられたところ、右緊急命令取消の申立をしたので、当裁判所は、当裁判所同年(行ク)第一七号緊急命令取消申立事件として、同年七月七日、同年五月二三日に発した右緊急命令を変更し、「被申立人(被審人)は、被申立人(被審人)を原告、申立人(東京都地方労働委員会)を被告とする当庁昭和三九年(行ウ)第二号不当労働行為救済命令取消訴訟事件の判決が確定する日まで申立人が都労委昭和三八年不第二二号事件についてなした命令に従い、平野信三を被申立人(被審人)のタクシー運転手の原職に復帰させ、同人に対し金一二万五、〇五一円(税込)及び昭和三八年五月以降原職に復帰するまでの間毎月二八日限り金四万六、二〇八円(税込)を支払うべし。」との緊急命令を発し、右緊急命令は同月一五日被審人に送達された。しかるに被審人は右緊急命令により命ぜられた義務に違反して前記平野信三を原職に復帰せしめることなく、命ぜられた各金員をも支払わないで緊急命令に違背し、既に当裁判所昭和三九年(ホ)第一、九三三号労働組合法違反事件として昭和三九年七月二七日までの違反行為について過料の制裁を受けているにもかかわらず、翌二八日から依然として右緊急命令に違背したまま本件最後の通知の日である昭和四〇年二月一一日に到つているものである。

右の事実は本件記録によつて明らかであるから、労働組合法第三二条非訟事件手続法第二〇七条により主文のとおり決定する。

(裁判官 川添利起 園部秀信 西村四郎)

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